お雑煮は新年の縁起物!その由来や基本的な作り方をご紹介♪
一年の始まりに縁起物として食べる《お雑煮》。日本人に欠かせない風習となっている《お雑煮》は古くは平安時代からあることをご存じですか?
ここでは意外と知られていない《お雑煮》の由来や地方による中身の違い、基本的な作り方などを詳しくご紹介します♪
平安時代から?1000年以上も続く由来とは?
日本人なら誰しもお正月に《お雑煮》を食べますが、その由来は古く、平安時代まで遡ります。
お雑煮の由来は「米」です。農耕民族であった日本人にとって、米で作ったお餅は祝い事や特別なハレの日に食べる縁起物でした。
また新しい年を迎えるにあたり年神様や神様に供えたお餅や野菜には特別な力が宿ると考えられていました。その特別な力が宿った食材をお下がりとして頂くことで一年の幸せを祈願しました。
神様のお下がりと新年最初に井戸や川から汲んだ「若水」、新年最初に起こした火を使って煮て食べたのがお雑煮の由来となっています。
室町時代には武家の宴会で一番最初の酒の肴として出されましたが、お餅は高価だったことから一般庶民は里芋を代わりに使用していました。
江戸時代になると庶民でもお餅が入手しやすくなり、現代と同じように食べられるようになりました。
このように古くは平安時代に由来を持つ《お雑煮》ですが、今日まで続いているのは神様に縁起を担ぐ風習が日本人に根付いているからなんですね。
お雑煮は元旦だけ?いつ食べるのがいいの?
平安時代に由来を持つ《お雑煮》ですが、元旦だけ食べるという方が多いようです。
インターネット上で「いつ食べる?」というアンケートを行った結果、76%の方が「元日の朝食時に食べる」と答えました。また15%の方は「元日の昼食時に食べる」と答えています。つまり元日だけ食べている方が多いということですね。
しかし《お雑煮》は縁起物であるため、三が日のうちは食べることをおススメします。これは元日から1個ずつお餅の数を増やして食べると縁起が良いという由来に基づきます。
基本的に三が日で終了ですが、松の内が明けて「鏡開き」をしたらそのお餅を使ってお雑煮やお汁粉にして食べましょう。鏡餅にも縁起担ぎの由来があるので忘れずに食べるようにしましょう。
お餅の形にも意味が!どんな由来があるの?
《お雑煮》の主役といえば「お餅」ですね。地方によって汁の仕立て方や具材が異なりますが、お餅の形も大きく2種類に分かれます。
◆関西は「丸餅」
関西では「角が立たずに円満に過ごせるように」という意味が込められた「丸餅」が主流です。中でも京都では具に使用する野菜も全て丸く切るなど、徹底的に「丸」に拘り縁起を担ぎます。
◆関東は「角餅」
関東ではのし餅を四角く切った「角餅」が主流です。これは江戸時代に人口が増加し、一つ一つ丸める丸餅は手間がかかることから一度に多く作れる角餅が好まれました。
また江戸は武家文化が大きく反映されており、武士が戦いを前に「敵をのす」という縁起を担いでのし餅を四角く切ってお雑煮で食べたことも影響しています。
関西と関東でお餅の形が異なりますが、その境界は「関が原」のある岐阜県と滋賀県の間です。これは『天下分け目の関が原の戦い』が由来とされています。ただし岐阜や滋賀県内でも地域によっては丸餅と角餅が混在している場所もあります。
お餅だけじゃない!具にも意味がある!?
関西と関東のお餅の形の違いにはきちんと由来がありますが、具一つ一つにも意味が込められています。
代表的な具で言えば、小松菜を初めとする「青菜」と「鶏肉」です。青菜と鶏肉のセットで「菜鶏」が「名取り」に通じ、「敵の対象の首を取って名乗りをあげられるように」という意味が込められています。
この青菜と鶏肉のセットは武家で好まれました。関東では武家文化の影響が大きく、東京や千葉など関東圏ではよく見られる具材です。
一方関西でポピュラーな具といえば「頭芋」です。頭芋には「人の頭になって過ごせるように」という願いが込められおり、京都や大阪でよく見られる具材です。
この他にも、
- 大根…輪に通じる
- 水菜…名を成す
- 花カツオ…勝つに通じる
といった意味が込められています。
こうやって具の意味や由来を知ることで具材をアレンジしてオリジナルのお雑煮に仕上げることができますよ♪また地方では地元の海産物や特産品を使用することも多いですね。
関西風から関東風、さらに珍しいお雑煮も!
地方によって特色が異なるお雑煮ですが、主に関西風と関東風に分けられます。また地方ならではの独特なお雑煮もあり、特徴的な種類をご紹介しましょう。
関西では「京都雑煮」が主流です。昆布ダシで丸餅を煮た後、白みそで仕立てますが、西日本全体で見ると白みそ仕立てよりもお澄まし仕立ての地方の方が多いです。
関東風
関東では「江戸雑煮」が主流です。武家文化の影響が強い関東では、みそ仕立てだと「勝負にみそをつける」ということからお澄まし仕立てが一般的です。
岩手県
岩手県の三陸海岸地方ではお餅をクルミだれに付けます。クルミを刷り佐藤や醤油で味付けをした甘いたれをお雑煮の椀に沿え、お餅を付けて食べます。
奈良県
奈良では白みそ仕立てですが、具のお餅は別皿に用意したきな粉を付けて食べます。黄色いきな粉には《豊作になるように》との願いが込められています。
香川県
香川では白みそ仕立てに「あんころ餅」を入れます。甘いあんころ餅を入れるのは、《砂糖が貴重だった時代、お正月の雑煮は贅沢に祝おう》という由来があります。
徳島県
徳島県では具材が地域によって違いますが、東祖谷山村では「うちちがえ雑煮」と呼ばれ具はお餅を使用せず、豆腐と頭芋だけです。
これは平安時代、地元の人々が安徳天皇を里芋と大豆でもてなしたところ、「大豆は豆腐にするように」と言われたことに由来します。
処変われば味も大分違いますが、この違いを楽しむことこそ醍醐味といえますね。
関西風と関東風の基本的な作り方
古くから由来ある《お雑煮》は伝統的な日本食ですが、粉末ダシを使用すれば作り方は意外と簡単です。ここでは基本となる関西風と関東風の作り方をご紹介しましょう。
<材料(2人分)>
- 里芋 2個
- 大根 20g
- 人参 20g
- 丸餅 2個
- 糸鰹 適量
- 柚子の皮 2枚
- 水 400cc
- 粉末ダシ 小さじ1/2
- 白みそor西京白みそ 60g
<作り方>
《下準備》
- 里芋…面取りし塩揉みをしてヌメリを取る。400ccの水に粉末ダシを小さじ1/2(分量外)を加え、柔らかくなるまで茹でる。
- 大根&人参…5mm幅に切り、梅型でくり抜き、400ccの水に粉末ダシを小さじ1/2(分量外)を加え、大根、人参の順に柔らかくなるまで茹でる。
- 丸餅…熱湯で柔らかくなるまで茹でておく。
- 柚子の皮…丸く切っておく。
- 鍋に分量の水を入れて沸騰させ、ダシを加えて火を弱める。 白みそを加えて沸騰させないように汁を作る。
- お椀に丸餅を入れ、里芋・大根・人参を盛り付けた後、 白みその汁を注ぎ、糸鰹と柚子の皮を飾る。
<材料(2人分)>
- 大根 20g
- 人参 50g
- 鶏もも肉 50g
- ほうれん草 50g
- 角餅 2個
- かまぼこ(8mm幅) 2枚
- 三つ葉(ざく切り) 4本
- 柚子の皮(松葉柚子) 適量
- 水 400cc
- 薄口醤油 小さじ1
- 粉末ダシ 小さじ1/2
- 塩 小さじ1/2
<作り方>
《下準備》
- 大根&人参…5cmの短冊切りか輪切りにした後、粉末ダシを小さじ1/2(分量外)を加えた湯で大根、人参の順に茹でる。
- 鶏もも肉…削ぎ切りにして塩を振ってしばらく置き、その後湯にさっと通しておく。
- ほうれん草…さっと塩茹でし、水気をしぼり5cm幅に切る。
- 角餅…焦げ目が少し付く程度に焼いておく。
- 鍋に分量の水を入れて沸騰させ、 醤油と粉末ダシ、塩を加えて澄まし汁を作る。
- 澄まし汁に鶏もも肉を加え、 沸騰させないよう注意しながら火を通す。
- お椀に焼いた角餅、大根、人参、かまぼこ、 ほうれん草、三つ葉、柚子、鶏肉を盛り付け、 澄まし汁を注ぐ。
このように下準備をして粉末ダシを使用すれば簡単に作ることができます。あとは具材のアレンジしだいで無限に楽しめるので、ぜひ挑戦してみて下さいね。
いかがでしたか?今回はお雑煮の由来や歴史、具材の意味などについて詳しくご紹介しました。知っていると役立つ豆知識なので、新年にご家族で集まった際に話のネタの一つとしてぜひ披露してみて下さいね。