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書初め

書初めってどんな行事?成り立ちや内容を見てみよう

小学生のころ書初めをした、と言う記憶がある方もいるのではないでしょうか。

 

お正月に行う書道で、1年の豊富や目標、正月にちなんだ言葉などを半紙に書きしたためるのがならわしですが、その始まりやいわれをご存知ですか?

 

書道の習慣は古くから根付いている日本ですが、一体どのようにしてこの習慣でいったのか見てみましょう。


書初めの始まり

書初めは新年を迎えて初めて毛筆を使い絵や書を書く行事のことです。現在は多くの人が文字を書きますが、特にくくりはありません。実施日は旧暦1月2日でしたが現在は新暦の1月2日に行われます。

 

別名吉書や試筆、初硯に筆始と言われていますが、やり方は恵方に向かい若水を使って墨をすり、詩歌を書くものです。

 

良く使われていたのは

 

長生殿裏春秋富 不老門前日月遅

 

という漢詩です。

 

宮中行事として行われていましたが江戸時代に入ると一般にも広く浸透しました。書初めはその後左義長つまりどんと焼きでもやし、炎が高く上がれば字が上手くなると言われています

 

また日本では1月5日に日本武道館で書初め大会が大々的に行われており、およそ4000人が筆を取ります。

1月2日は様々なことを始める日

書初めが行われる1月2日はさまざまなことが始まる日でもあります。たとえば農家の作り始めに商家の初荷がある仕事始めが有名ですが、それに合わせて文字や絵を描き始める書初めも始まったとされています。

 

江戸時代は庶民の子供も学ぶことができる寺子屋が広まりましたから、貴族や文人だけではなく、世間一般に広まったと言われています。

 

昭和初期までは「福」と言う字を神棚の前、菅原道真の肖像の前で書き、納めると言う風習も残っていました。

 

読み書きそろばんのうち書きを占める書道は必要不可欠とされ普及し、文字を書くことが広まり現在に至るとされています。


書初めのメリット

では書初めにはどのような意味があるのかと言うと

 

きれいな字を書く

きれいな漢字やひらがなを書けるというのは今も昔も勉強ができる人、信頼できる人の証明です。神様に文字を納めればきれいな字が書けるようになるという願いが込められていたのです。

 

1年の抱負を語る

1年の計は元旦にありと言いますが、書初めも同じです。冬休みの宿題に決められた熟語、自分の好きな言葉、教科書に出てくる文字を書くというものがありますが、宿題にならない地域は自ら自由研究として書くこともあります。

 

 

1年をどのように過ごしたいかなど自分で決め書にしたためると言うのは小学生の内から目的を持って突き進むということができるようになる意味でも重要なことなのです。

 

仕事をしている人の場合、書初めをすることで1年間順調に仕事が進むとされています。

書初めにはどんな文字がいいのか

ところでどのような言葉や文字を書けばいいのでしょうか。よくあるのは「元旦」や「初日の出」「初詣」など、正月に関連する言葉ですが、もちろんそれ以外の言葉でも構いません。

 

1年の豊富や目標にするなら「一日一善」「笑門来福」などがあります。部活動をしている子なら「全国制覇」などでもいいでしょう。

 

ほかにも「伝統」や「友だち」「仲間」といった大切にしたいものを書く場合もありますし、「美しい心」や「生きる力」「流れる星」など少し長めのものを選ぶ人もいます。

 

ことわざにするなら「笑う門には福来る」や「光陰矢の如し」などを選ぶ人もいますので、好きな言葉や文字を選んでみましょう。

 

最近は時代に応じて「絆」を選ぶ人も増えています。大人の方なら「力戦奮闘」や「初志貫徹」などの四字熟語、「春信」や「翔雲」、「肇祉」もお勧めです。

 

詩歌でよく選ばれる「長生殿裏春秋富、不老門前日月遅」ですが、これは長生殿の裏には春秋富めり 不老門の前には日月遅しと読み、をくぐると時間が過ぎるのがゆっくりなため年を取らないと言う意味が込められているお祝いの歌です。

 

書道に慣れてきたらぜひ選んで書いてみたい詩歌ですね。


書初めの書体や字体

書初めをするとき多くの方が行書で書きます。丁寧で誰にでも読みやすい字ですし、書道の基本ともいえる字体ですから初めての方や慣れてない方は行書を選びましょう。

 

書道に親しんでいる、慣れているという方は崩し文字を使用しても構いません。旧字体を使いたいという方は旧字体を使っても構いません。

 

たとえば寿や草冠などの旧字体がありますので、バランスを見て考えるといいでしょう。名前を書くときにはしご高など旧字体を使用するときは戸籍にあるとおりに書くといいでしょう。

書初めで大切なこと

書初めで大切なことは心を込めてゆっくり書くことです。「字が下手だから」としない方も多いですし、後片付けが大変という方もいます。

 

しかし書をしたためることで精神統一ができ、集中力が身につきますので今後の役に立つでしょう。書道になれていない方は字が下手で当たり前なのです。

 

テレビや雑誌に出てくるような文字が書けなくても、心が伝わる書を書くことができればいいのではないでしょうか。どのような字、詩歌を選ぶにしろ、あなたの決意や気持ちを込めてみてください。


全国各地で行われている大会

なお全国各地で書初めの大会が開かれています。最も有名なのは日本武道館で行われるものですが、学生向けの大会もありますので参加を検討してみるのもいいでしょう。

 

全国学生書初め展覧会は文部科学省の後援で行われており、幼稚園児から大学生まで参加することができます。毛筆、硬筆と部門が分かれていますので、得意な方で参加してみるのもいいでしょう。

 

全日本書初め大展覧会は内閣総理大臣賞をはじめ、日本武道館賞や特別賞などが設けられています。ほかにも自治体が開いているものや海外留学生向けのもの、新聞社が開いているものなどがあり、毎年大変盛り上がっています。

 

つい書道を習っている子だけが参加できるものと思ってしまいがちですが、決してそのようなことはありません。書初めは誰にでも平等に与えられ、伝えられた伝統です。

 

ですからどのような形であれ新年に書を始めると言うのは大変意義があることではないでしょうか。

 

一般の方でも参加できる大会もありますし、書道サークルで発表会をしている場合もありますので来年はあなたも参加してみてはいかがでしょうか。1月2日は筆を取り、あなたの想いを半紙につづり、1年の目標を立ててみてはいかがでしょうか。


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